すふにん小説

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弥勒物語♯6

全校集会の時間になった、新学期が始まる定例の儀式なのだ。

うう、これはかなりきついな、立ちっぱなしというのは結構疲れるものだったんだな。

三十分も経過した後に解散となった。教室へと戻る様に先生に指導される。

教室に戻って来た後、今日は新学期ということで簡単な説明を受けた後、下校するように言われた。

普段なら大人しく帰るところなのだが今日は色々とやることがある。

クラスメイト全員と会話をしてから帰ろうと心がけたのだ。昔とはここが違うのだ。

しかし案の定、みんなして僕を無視してくる。

……

これは腹立つ。

せめて、特定の知り合いを作ってから帰るとするか。

僕はクラスで一番大人しそうな生徒に話しかけることに成功した。

この子、誰だったっけ? クラスにこんな子なんかいただろうか。

「ミロク君、今日は何か様子が違っていたね、何かあったのかい?」

 聞いてみたところそのクラスメイトの名前は三木君と言うそうだ。

新学期になってクラス替えがあり去年は別なクラスだったそうだ。

仲が良い友だちからはミッキーと呼ばれているらしい。

「三木君、実はね、僕は遠い未来から来たんだ。だからね、僕にはこの後起こることが何でも分かるんだよ」

 すると三木君は大笑いしてから

「ははは、ミロク君でも冗談なんか言えたんだね、もし遠い未来から来たなら僕の誕生日も分かるのかい?」

 僕は少し気まずそうに答えた。 

「い、いや、それは……」

 すると三木君は勝ち誇ったようにして言った。

「ほらね、いくら君がもし、本当に未来人だとしてもこの世には分からないことが、山ほどあるんだ。ここで勉強しなきゃいけないことがあるものなんだよ?」

 ……ここで勉強しなきゃいけないことがある?

何か上の世界から指示を出された様な気がして僕は一瞬、沈黙する。

「あ、ああ、分かってるよ。今のは軽いほんの冗談。気にしないでくれよな」

 その子は話を続けた。

「大体、君が未来から来たとしてここで何をするつもりなんだい? 過去を変えて未来の世界を変えようとでも言うのかい?」

「え?」

――過去を変えて未来の世界を変えるつもりでもいるのかい?

「ああ、気にしないでくれよな。僕って性格が大人しいだろ? それは読書をたくさんしているからなんだ、SF小説なんか特にたくさん読んでいてね、今のは得意ジャンルなんだよ」

「な、なるほどなー」

 僕は三木君が中学生の割には大人びた回答をしたことに対して素直に関心してしまった。

こ、これは手ごわいかも知れない。果たしてこの学校全てを制覇することなど可能なのだろうか? 僕は学校制覇を全国制覇などという子供じみたことに置き換えて考えていたことに対して心から後悔した。

「三木君、今日は一緒に帰らないかい?」

 するとその三木君はこう返事をしてきた。
「ああ、ごめんよ、今日は他のクラスの友だちと帰る予定なんだ。去年、一緒のクラスだった奴でね。また今度帰ろうね」

……

結局、僕は一人で帰ることになった。

……

――大体、君が未来から来たとしてここで何をするつもりなんだい?過去を変えて未来の世界を変えようとでも言うのかい?