すふにん小説

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2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

弥勒物語♯25

僕は半ば放心状態になりながらフラフラと仏堂を出た。 先ほどの出来事は何だったのだろう、幻でも見ていたのか、本当にあれは声だったのか、あるいは幻聴だったのかも知れない。 タイムリープをして精神的に参っていたこともあるだろう。僕はあまり気にしな…

弥勒物語♯24

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。僕はひたすら寺に篭り一人でひたすら念仏を唱えていた。戦後時代に来てからというもの、慣れないことで一杯だ。信長を打ち取る?果たしてそんなことでこの乱世の世は変わってくれるのだろうか?大体、戦争とはい…

弥勒物語♯23

寺を巡りながら修行していた僕たちは、思いもよらない出来事と遭遇することとなる。 僕らは尾張国に来ていたのだが、そんな時、街中で喧嘩騒ぎが起きたのだ。 「あいや、待たれい、其方はこのわしにぶつかっておいて詫びの一言もないのかい」 だが、ぶつかっ…

弥勒物語♯22

越後国を旅立った僕たち三人は寺を巡りながら修行も兼ねて観光を楽しんでいた。 なんせ路銀が使い放題と来たものだから旅に欠かせないものは何一つ不足することはなかった。どことなくチカの機嫌が良い。 「弥勒様、旅立ったのはいいものの、何かこの旅に不…

弥勒物語♯21

なんかとんとん拍子に話が進んでしまったな。これでよかったのだろうか。 「ミロク、上杉謙信が出家するという話は史実なのか?」 「いや、史実ではないよ。どうやら僕が戦国時代に来たことで歴史が大きく変わってしまったみたいだ」 「これからどうするんだ…

弥勒物語♯20

「ほう……」 景虎が真っすぐな眼で僕の方を見てくる。 「すると、そなたはまさしく弥勒仏ではないか」 「はい、そのようですね……」 僕は言い訳しようとすると逆に失敗する身の危険を感じ、あえて認める事にした。恐ろしい眼で見てくる。これが軍神……毘沙門天…

弥勒物語♯19

春日山城、謁見の間にて……。 「天室光育か、久しいな……息災であったか?」 「ええ、この通り。虎千代も元気そうでなにより。それより私の顔を覚えておられますかな?」 「ははは、何、師の顔を忘れる事などある訳はない」 「そうかそうか」 景虎と天室光育は…