すふにん小説

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プロット

僕は船頭らしい人に、乗船券を渡すと、船に乗り込んだ。辺りを見渡すと、たくさんの積み荷が運ばれているのが見えた。出発は明日の午前十一時らしい。それまで自由に船を見学しても良いとのことなので、散策してみることにした。随分と広い船の様だが、客は何人いるのか。この船は一体……。随分と古い形式らしいが、一体いつの時代のものなのだろうか。これは夢を見ているのだと、自分に言い聞かせ、まずは深呼吸をすることにした。何度も、鼻から息を吸い込んで、口で吐く動作を繰り返す。少しはリラックスできたのか、船内の様子を見てみようという余裕が生まれた。よくよく周りを見てみると、貴族風の出立ちをした人しかいない。まるで十五世紀後半の大航海時代を思わせる。これからこの船はどこに向かうと言うのだろう。どうも気が抜けたのか、空腹を覚えた僕は、地下の船内で食事を取ることにした。階段を降りて行くと、美味しそうな匂いが漂ってくる。

「お腹が空いたのですね。どうぞこちらにお掛けください」

 調理師風の人に、そう促された僕は、木製でできたテーブルに備え付けられていた、椅子に腰掛ける。

「この船は一体何なのですか? 僕は夢を見ているのでしょうか」

「そうですか、説明を受けていないのでしたね。この船は、これから地球ではない、違う惑星に旅立つのです」

「えっ!?」

「そこであなたは、自由に残された人生を全うして貰います。航海を続けるのもよし。冒険をするもよし、お金を貯めるのも、もちろんよいことでしょう」

「地球から離れて、別の惑星に行く?」

 僕は白昼夢を見ていた。自分のしていることがわからない。朝になって、目が覚めても、まるで夢を見せられている様な感覚に陥った僕は、仕事の時間になっても、まだ部屋の中から出られないでいた。確か昨日は、友人と飲みに行っていて……それからどうしたのだろう。その後の記憶がない。二日酔いだろうか、頭痛がしていた。一体、どんな強い酒を飲んでいたのだろう。こんなにも自分を見失うほど、酔うなんてことは珍しいことだった。

『船に乗る準備はできたかい?』

 ……幻聴だろうか、何か声がする。こんなことじゃいけないな、早く顔を洗って来よう。

そう考えていると、ふと妙なモヤが自分を包んだ。このモヤは一体? よく見ると、どうも船の形をしている。僕は夢の中で、とある切符を渡されたことを思い出した。あれを渡せばいいのかな。切符を取り出した、その瞬間、僕はモヤの中に引っ張られた。