すふにん小説

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予言の書(仮)

 世界の終わりが来るとしたら、あなたは何をしますか……? この話はあらゆる未来の物事が記された書物。そんな予言の書を拾った少年の物語である。
「だから、そんなものがある訳がないでしょう。いつまでも子供みたいなことを言っていないで、真面目に勉強をしなさい」
「でも夢で見たんだ、世界が終わってしまう夢を。不気味な空が見えて、世界が大洪水で飲み込まれてしまうんだ」
「変な漫画ばかり見ているから、そんな夢を見てしまうのよ。いい加減にそんな夢から覚めなさい!」
「でも、母さん。世界が終わる夢が毎日続くなんて異常だよ。これは現実で何か起こるという兆候なんじゃないのかな」
「それで……もう学校にはどうしても行かないっていうのね?」
「ああ、考えてもみなよ。世界が終わってしまうというのに、学校に行く必要なんてあるのかい?」
「……あなたの好きに様にしなさい」
 僕は母による必死の説得にも応じることはなく、そのまま登校拒否することを選んだ。
 本当に終わってしまうんだ……世界が。
 僕はまた夢の続きを見ようとして二度寝をした。あの予言の書を拾ってからというもの、心が穏やかになったことはない。